税理士試験の最大の特徴は科目合格制度を取っていることです。多くの試験は、一回の試験で全ての科目に合格しなくてはなりませんが、税理士試験においては、一科目ごとの合格も可能でしかも、一回合格した科目は生涯有効となります。
税理士試験の合格率だけを見ると10%台と、決して高いとはいえませんが、受験回数を重ねていくことができることを考えると、その難易度は高くはなく、合格しやすい試験と言えるのではないでしょうか。一年に一科目ずつ受けていくことも可能なので、税理士試験は社会人がゆっくりしたペースで勉強しても合格可能な試験だと思います。税理士試験のもう一つの特徴は選択科目の選択の幅が広いということです。税理士試験の試験科目は全部で11あり、そのうち5科目を選択することになります。会計科目の「簿記論」及び「財務諸表論」の2科目は必須科目で、絶対に合格しなければなりません。また税法科目のうち、「所得税法」と「法人税法」は選択必須科目で、いずれかを選択しなければいけないようになっています。
必須科目以外は、苦手な科目を敬遠することが出来ますし、自分にとって簡単そうな科目を見つけて集中的に勉強することで得意科目を作ることも可能になってきます。上述したように、一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験できるため、実務経験を積みながら取得することも可能です。ですので税理士の資格の取得期間は、人にもよりますが、1年から5年程度というのがおおよその年数です。
税理士試験は国家試験ですが、その受験資格があるのはどんな人なのでしょうか?
税理士試験の受験は年齢や国籍を問いませんが、行政書士や司法書士のようにだれでも受験できるものではありません。以下のいずれかに該当して初めて税理士試験の受験資格を得ることができます。*学識による受験資格の規定
・大学または短大で、法律学または経済学に関する科目を履修の上、卒業した者・大学3年次以上の者で、法律学または経済学に関する科目を含め36単位以上を取得していること(ただし外国語及び保健体育科目を除き、最低24単位の一般教育科目が必要)
・一定の専門学校で、法律学または経済学に関する科目を履修の上、卒業した者・司法試験第二次試験合格者
*資格による受験資格の規定・日本商工会議所主催簿記検定1級合格者
・(社)全国経理学校協会主催簿記能力検定試験上級合格者・会計士補または、会計士補となる資格を有する者
*職歴による受験資格の規定(以下のいずれかの業務に3年以上従事していること)・弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、不動産鑑定士または不動産鑑定士補
・法人または事業を営む個人の会計事務経験者・税理士、弁護士、公認会計士等の業務の補助の事務
・税務官公署における事務または、その他の官公署における国税もしくは、地方税に関する事務*認定による受験資格の規定
・国税審議会により、受験資格に関して個別認定を受けた者また、税理士試験には、修士の学位等取得による、試験科目の免除制度があります。
税理士法第1条によると、税理士の使命とは、「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」とされています。
税理士会とは、そんな税理士の使命及び職責にかんがみ、税理士の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため、支部及び会員に対する指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする団体のことです。全国には北海道・東北・関東信越・千葉県・東京・東京地方・東海・名古屋・北陸・近畿・中国・四国・九州北部・南九州・沖縄の15の税理士会があります。またこれらの15の税理士会で構成される、日本税理士会連合会という組織があります。日本税理士会連合会は税理士法でその設立が義務づけられている団体です。
日本税理士会連合会の以下のような事業を行っています。①税理士会及びその会員の指導、連絡及び監督に関し必要な事項について、税理士会及びその会員に対する勧告又は指示
②税務行政その他租税又は税理士に関する制度についての調査研究③税理士会の会員の業務の改善進歩に関する調査研究
④税理士に関する制度及び税理士の業務に関する広報活動⑤会報の発行
⑥税理士の登録に関する事務⑦税理士会の会員の研修に関し、必要な施策の実施
⑧小規模納税者に対する税理士の業務に関し、必要な施策の実施⑨税理士会の会員の業務に対する報酬及び帳簿作成に関し、必要な施策の実施
⑩税務行政その他租税又は税理士に関する制度について、権限のある官公署に建議又はその諮問に答申税理士は、税務代行、税務書類の作成、税務相談の3つの独占業務を行えることで安定した地位と収入が保障されています。税理士の資格取得後は、実に約8割もの人が数年の経験を得てから独立開業をします。また、最近では他の国家資格(公認会計士、法律系)の事務所に所属し、チームで1つの仕事に取り組むことも出てきています。また、独立ではなく企業内に所属して、会社の財務を担当したり、他資格を組み合わせて、経営コンサルタントなどを行う税理士も増えてきています。
税理士の年収ですが、独立開業した税理士事務所の場合、平均収入金額は、3000万円ほどです。ちなみに勤務税理士の場合は年収760万円ほどです。税理士の収入は基本的にはお客さん=法人(顧問先)からの顧問報酬になり、これが毎月入ります。資本金500万円未満の法人で、年間約60万円です。つまり顧客が10件あれば、単純計算で年間600万円もの収入になるわけです。開業5~6年で年収1000万円も夢ではないと言われる所以がここにあります。また法人からの報酬は顧問報酬のほかに年末調整などの書類の作成報酬、決算料があります。さらに法人の経営者(個人)の税金の(確定)申告書類の作成報酬ももらえる場合が多いのです。また、イレギュラーではありますが、事業主(経営者)の方が亡くなった時には、相続税の申告もまかされることになります。そうなるとここでも報酬が発生します。その他には、税務の知識を活かして本の執筆や、講演を依頼されることもあります。